ソーラー充電式扇風機の修理・改造


買ってから壊れるまで

2011年、ソーラー充電式扇風機(ALF300 アルファックスコイズミ)を買いました。ソーラーパネルが大きめ(8W)の充電式扇風機で風向も変えられる、デザインも好みのエコグッズということで。風力は普通の交流の扇風機と一緒くらいで満足。ところが2年目あたりからモーターの回転数が落ちて回らなくなってしまいました。

直流モーター取替え

代替品で買ってきた直流モーターまさかこんな早くに基板は死なないだろうし、直流モーターが信頼性低そうなので直流電源につないで見ると回らない。メーカーのサポートに規格教えてくれませんかと電話してみたけど不明とのこと。まあ相当に親切なところでもないと教えてくれないとは思いますが。バッテリーは鉛蓄電池6Vが2本直列で12V。3段階変速はPWM制御だろうということで充電池の満充電無負荷時14V程度とすると20V程度まで掛けられるものならよいと。それを満たすうえで形状互換のモーター(RS-550SH、写真)を日本橋のデジットで買ってきました。ところがつなぎ変えても回らない。何これということで壊れているはずの元の直流モーターをもうちょい電流を流せる別の電源につないで見ると普通に回って目が点になりました。

回路構成

S8050のベース入力波形基板をよく見るとNEC D882Pと書いているトランジスタの周辺がやや変色している。スイッチング用ぽい。オシロで見ると14pinのICのピンからデューティ比が赤のとき1:1、黄色のとき2:1、緑で1:0で出ている。ここからS8050のベースまで信号が来ていてダーリントン接続になっているD882Pのコレクタ電圧が0のまま。回路を追ってみるとD882P2本並列接続で、フライバックダイオードがついてない。かわりに?100μFのケミコンがついている。D882Pを両方基板から外してみると片方が全導通になって死んでいる。想像するにD882P非導通になった瞬間に直流モータのインダクタ成分に流れていた電流の行き場が無くなってD882Pに過電圧が掛かって壊れたみたいな感じではないかと思うんですが。

修理兼改造

D882Pだけ取り替えてもまた壊れそうだし2本並列だと壊れる確率も倍なのでD882P2個を2SK2232 1個に変えます。D882Pのコレクタ電流は3Aパルス電流で7A、2個でその倍。2SK2232のドレイン電流は25A、パルスで100Aなので余裕です。オン抵抗は36mΩ。モーター至近にフライバックダイオードをつけます。逆電圧は2SK2232導通時モーター両端の電圧まで耐えれば良くて、ヒューズが3Aなので2SK2232非導通時瞬間的に3A以内まで流せるやつなら可です。この結果風量が弱中強で余り変わらなくなったので調べると、2SK2232非導通時でも電圧が下がってきません。ONの間に電源電圧までケミコンが充電されてるためだろうと推定し、100μFのケミコンを外すと期待通り風量電圧ともに弱中強で変化しました。

電源回りの改造

回路図バッテリーはモーターを回す余力がありそうなのに、後述するほど長くも動作せず、消耗すると突然動作停止するのが不満だったので調べてみました。そしてこの図のように弄りました。フォトカプラとかは外付けHDDの電源基板から剥いできました。

5V系を安定化させる

メインスイッチの下流で100Ωの抵抗を挟んで1N4735A(6.2Vツェナダイオード)1N4736A(6.8Vツェナダイオード)が直列に繋がっています。この間が14pinのDIP ICの電源供給みたい。6.8VはIC保護でしょうね。IC自体も電力消費するので、電源電圧が6.2V+最低動作電圧を切るとツェナーダイオードが降伏しなくなって、ICへの電源供給が絶たれて停止する、という動作ですかね。ここは常時5-6V出るように改造します。7805とかの三端子レギュレータを使っても良いんでしょうが、100均のシガーソケットから携帯電話を充電するアダプタ(Maxtock car charger)の基板を流用しました。これは34063Lを用いたチョッパ方式の降圧回路です。外部に5V出力できればなお良いですし。

ダイオードを替える

外部電源入力の付近の3本のダイオードは基板に書いてあるショットキーダイオードではなくて普通の整流用ダイオード1N5408になっているのでわりと順方向電圧低下します。ソーラー充電時にはロスがわりとあるということです。もったいないです。ここもこんな本数はいらないと思いますのでショットキーダイオード一本に替えました。ただしショートモードで壊れた場合はソーラーパネルに電源直結になってまずいことになります。

2SK2232入力電圧

2SK2232のゲートにONでもなくOFFでもない2-3Vかかると抵抗器に化けて焼けそうになります。D882Pを2SK2232にただ置き換えるとそうなります。その対処として5V系を安定化してフォトカプラをかましました。これしたら負荷時の充電池電圧8Vくらいまで下がっても回りますね。バッテリが消耗してくるとさすがに風量も出なくなり5V変換基板が動作しなくなるのかICのほうが動作しなくなって勝手に電源が切れました。

その他

満充電インジケータ

インジケータ回り満充電インジケータはタクトスイッチのある基板のツェナダイオード(C13 5Tの表記)が降伏すれば光るようになっているので、12.4V+整流ダイオードの電圧降下以上で満充電の表示になる模様。二次電池についてより1セル2.35V以上で過充電なので6セル14.1Vを超えたらよくないという事になります。安全を見て低めの電圧で光るようにしているのか整流ダイオードの電圧降下を加味しているのかイマイチよく分からないところです。インジケータであって保護ではないので緑になったらもう充電しません、ではなくて充電は続く仕様です。

フォトカプラ要る?

MOSFETなのでそのまんまICからの出力をゲートにつないでもいいのかもしれません(検証不十分)。5V系安定化前にやったところプルダウン抵抗次第なのですが結構電圧降下してICが動作停止したり半端な電圧になって2SK2232が熱くなったりするので余り電流を引いて来れないと判断してフォトカプラをかましています。

改良点まとめ

スペック上納得すべき制約

これ買ったときはDCモーターなんてブラシがあって機械的に信頼性が低めであんまり長持ちしないだろうなと思っていたんですが、なんか最近直流モーター式の扇風機が話題になっているみたい。どうせ買うなら超低消費電力のオススメ扇風機3種で普通の交流扇風機の消費電力が30Wくらい。うちのNational F-C303Rは42W/48Wと表記があります。ALF300付属のソーラーパネルは8Wでした。互換性のありそうなモーターRS-550SHでは1.55A定格として弱だとその半分の0.8Aで消費電力10W前後というところでしょうか。日中はソーラー接続しながら使うとかいう方法もできます。充電池は6V5Ah2個ということですが直列接続でしか使ってないので実質12V5Ah以下です。弱で動作時間6h前後と期待されます。