PC-9821Ap/U2の改造


出会いは唐突に(^^;;

 ある雨の日、廃エナしていると(ぉ、Ap/U2がガワの空いた状態で、ご丁寧にCPUも抜き取られて捨ててありました。そういえばうちにA-mateって一台も無かったんだよな、と思い、傘を差しながら自転車に積んで帰りました。手がしびれそうになるくらい重かったです。とりあえずマシン名は"YUU"としました。

後継A-mateと比べて初代Apの良いところ/弱いところ

 良いところは標準で1MB-FDDインターフェースがついてくることと、ハイレゾ/ノーマルやCPUモード切り替えスイッチが前面にあることです。Ap2のカレンダーのようなバグが無いことも安心できる材料です。私はいじっていませんが、CPUボード上に据え膳のように弁当箱(水晶発振器)があります。(^^;; また、Ap3/As3は2代目までのA-mateでは正常動作するゲームが動作しないということがあるそうです。これは256色モードのうち、プレーンピクセル方式でのアクセスができないせいだったか。だから私は3代目A-mateは余りA-mateらしくない、初代X-mateの拡張性を高くした程度のマシンとして認識しています。
 初代A-mateの弱い点は、古い機種だから来る制限として、CPUソケットがODPを想定していない(当時はDX2まで)ため、PentiumODPが載らないこと、61SIMMのみ増設可でメモリの上限が14.6MBであることが挙げられます。ハイパーメモリCPUがあれば克服できますが。

動作確認

 で、動作確認です。そう言えば手持ちにでかいヒートシンクの接着された486DX(?)があったなと思いだし、挿そうとしたのですが、ソケットのレバーがぶつかり装着不能。出っ張りとレバーがソケット3と逆なんですね。仕方が無いので、PODP5V63(Pentium ODP。83MHz版がメジャー)を挿そうとしましたが、挿さらない。何でだろうと思い見てみると、ソケットに最外周の穴がない(T_T)。結局このときはAm486DX4-100MHzを装着し、起動だけチェック。CPUボードを本体正面から見て左上が切り欠きを合わせる部分です。ちなみにWindowsは起動途中でハングアップ(ぉ。その後i486DX2-ODPRが調達できたので、安全を期してこれで様子見していました。

CPU回り

PODP5V83

未改造のCPUボード しかし、私が個人として初めて買ったマシンは購入前からAm5x86-133MHzの挿さったXp/C8Wでしたので、CPUをもう少しましなものにしたいと思い立ちました。アップグレード用の石としてはAm5x86かPODP5V83が有名で、133MHz版のCx5x86は段突に速いようなのですが、486マシンの中には不具合の出るものがあり、しかも入手性が悪いです。AMD社製Am5x86/P75は486互換の石ながら133MHzを達成し、またクロックアップにも強いと言われ、入手性も非常に良いのですが、なにせメモリが遅い遅い61SIMMでセカンドキャッシュなしの初代A-Mateですから。むしろL1キャッシュがデータ用とコード用それぞれ16KBずつ、計32KBあるPODPの方がクロック以上に効果が高いと考えられます(DX2の4倍のキャッシュ)。しかも、手持ちに余ったPODP5V83もあるので、これを生かしたいというのが人情。

 PODP5V83はソケット3もどきマシンにおいて多くの動作報告があり、目立った不具合が出ないようですので、生ソケット3の最外周を抜いて、下駄の変わりにすれば良いだけということになります。たまたま調達できたときにそうして元のソケットにソケット3を装着!・・・できん。出っ張りが干渉してだめでした。ああ、なんちゅう忌々しいソケットだ(―_―メ)。んでもって初代A-mateではCPUボードが筐体のかなり前にあり、大きいヒートシンクやファンが入らないという高さ制限もあります。じゃあ左側の空きランド(つまりAsではOverdrive READYと書いた青色のソケットが載っているところ)にSOCKET3を挿せばいいんじゃないのかとも考えましたが、必要な配線が来ていない可能性や、バグの修正がされていない可能性があります(メインボードの方をご覧下さい。ジャンパ飛びまくりです(汗)。)。

ソケット3に換えた後のCPUボード そこで、現状で正常動作している右側の元のソケットの方を取り替えることにしました。例によって抜く方は大変なのですが、無事ソケット3に差し替えました。左上が切り欠きとなりますので、左側に「socket 3」の表示部が来るようにします。

ジャンパの飛んでるCPUボード(汗) ただ、実際は無事故ではなく、二箇所ほどパターンが切れてしまい、ボード裏側でジャンパ飛んでます。びんボっちゃまってご存知ですか?台湾に入境拒否された奴(チガウ。でまあ、ここにPODP5V83を挿して起動。ちょっと間延びしたぴぽって音がしましたが、CRYSTALCPUIDというフリーソフトで確認したら無事83MHzで動作しているようです。めでたしめでたし。ただし、PODPとはいえ、WB動作してないので、能力はフルに発揮できていませんが、元のDX2-66MHzやその後継であるDX4-100MHzよりは速いはずです。(DX2の載っている図は後から調達した物。)
 で、お約束のベンチ結果です

 ★ ★ ★  HDBENCH Ver 2.610  ★ ★ ★
使用機種   PC-9821Ap/U2
Processor  486DX2
解像度     1024x768 65536色(16Bit)
Display    [X]スタンダード ディスプレイ アダプタ (9821 シリーズ)
Display    Power Window 805i
Memory     13,764Kbyte
OS         Windows 95 4.0 (Build: 950)
Date       2003/ 7/31   4:29

SCSI = ICM IF-2769 SCSI-2 Board
HDC = スタンダード IDE ハード ディスク コントローラ

AB = GENERIC IDE  DISK TYPE00
C = GENERIC NEC  FLOPPY DISK
D = GENERIC NEC  FLOPPY DISK
E = GENERIC NEC  FLOPPY DISK
F = GENERIC NEC  FLOPPY DISK
Q = YAMAHA CRW8424S         Rev 1.0d

  ALL   浮    整    矩    円   Text Scroll DD  Read Write Memory Drive
 1368  1859  2743  1415  1062   617    11   0  1564  1679  1530  A:10MB


Processor  PODP83 83.2MHz [GenuineIntel family 15 model 3 step 2]

  ALL   浮    整    矩    円   Text Scroll DD  Read Write Memory Drive
 1855  2803  4638  1967  1424   773    11   0  1535  1691  1984  A:10MB

 まあ、はっきり言って全体的に悲惨な訳ですが(汗)。それでもクロックが約1.25倍程度であるのに対し、整数演算が1.69倍にもなっていること、浮動小数演算が1.5倍になっている点などから、PODPの効果は明瞭です。何度もベンチを取り直していると、メモリの値が2800位まで上がっていく現象が見られました。一応Windows95ではSCMPXを用いてMP3の再生が「立ちあがり以外は」スムーズで、BGMとして他の作業も出来なくは無いです。ソフトウェアMIDIであるWingrooveを使って見たところ、P54C-133MHz&sound blaster16の0.29倍の性能だそうです。・゚・(ノД`)・゚・。うえーん。まあ、バス構造、WB、音源周りも加味したということで・・・。

ハイパーメモリCPU

日本橋を歩いていたときに、フレンズでEUA-QP(Am5x86搭載ハイパーメモリCPU)が100円で売ってたので、買ってきました。嬉しいことに最初から32MB増設済みでした。メモリが増えるので、そっちの方が得ですから乗り換えました。

ストレージ

さて、486機は一般にストレージの強化が特にやりがいがあります。IDE-BIOSを書き換えて127GBまで対応させました。書き換えについてはPC-9821Ap/U2のROM書き換えをどうぞ。80GBのIDE-HDDを繋いでもう使い切れない状態です(汗)。てゆうかAp/Asみたいなメモリ制限ありーの486機で、8GBくらいまではまだ分かるとして本当に何に使うんだ(滝汗)。自己満足の世界だ・・・。実はXv20より大容量のHDDだったり。SCSIはというと、たまたまIF-2769が手持ちにあるんですわ、これが。ちなみにIF-2769のBIOS-ROMはシングルROM構成で27C512が採用されています。
 そのころはCD-ROMは内蔵していないのがまだ普通であった時期です。しかし無いと不便に感じまして、ちょうど外付け用の24倍速のSCSI-CDROMドライブと、内蔵用のSCSIの8倍速のYAMAHAのCD-Rドライブがあるので、入れ替えてやって繋ぎます。(Cバスの転送速度の理論限界は10Mバイト/秒で、24倍速のドライブは転送能力を発揮できないということです。でもかなり迷信かも。)ASPIマネージャであるICMDOSM.SYSを組み込んでやって、汎用ASPI CD-ROMドライバであるCDSDMINI.SYS(Uno様作フリーウェア)を組み込んでやることでDOS上からCDROMドライブが認識できます。なお、ICMCD.COMはICM製の特定のドライブ用なので、上記のドライブでは動きませんでした。
 FDDは/U2ですが二基目が壊れていましたので、手持ちのドライブと交換。オンボードの外付けFDDインターフェースには5インチFDD2基搭載のドライブを外付けします。

ハイエナ時にSCSI外付け用の筐体を拾ってきました。その後、日本橋のPC-NETで松下寿のLF-D200を買ってきました。SCSI外付け4.7GB DVD-RAMドライブです。PDも動くのは4.7GB DVD-RAMに対応していないという話のようですので、こちらにしました。これを憑けたことで、他のマシンとのデータのやり取りや、バックアップが各段に楽になりました。また、オリンパスのMOS350(640MB MOドライブ)も憑けています。ベゼルがないのがちょっとあれですが。
SCSI外付けBOX

GA

手元にたまたまPower Window805iがあったのでこれでお茶を濁しておきました。余りWindows95以降で快適に使える環境を整備できるマシンじゃあないので。でも、機会があればローカルバス接続のGAに置き換えたいとは思っています。それはもちろんまずWindowsの快適化のため、そしてFreeBSDでXが使える状態にしたいという気持ちがちょっとあるからです。(メインマシンのXv20はGA-S2K32PCIなのでその上でXが使えないのです)リサイクル掲示板つながりで、AP様からPC-9821A-E11をおゆずいりいただきました。964LBと双璧をなすローカルバス接続のGAですね。まず16bitカラー1024x768ピクセルで動かしたいということになりますね。手元のCD-ROMを漁ってDirectX7をインストールしたのですが、その解像度がどうしても出てこないというので、何でだろうと。だいぶはまりまして、もうちょっと古いバージョンのDirectXでないと必要なドライバが入っていないんだそうで。結論から言うとPC-9821ディスプレイドライバ(2)のおかげで助かりました。DirectX6.1を拾ってくることでなんとかなります。レジストリ書き換えとかはPC-9821Xsを改造しませうとかを参考にしてやりました。(Xpのときにやってるはずなんですが、頻繁にしないので忘れてました)

LAN

1万円で玄人志向のPK98-2SYUMORIを衝動買いしてきました。何かっていいますと、SCSIスルー機能とLANの機能を持たせたボードです。

MIDI

LAPC-Nの概観 DOSを使うならハードウェアMIDI音源はあった方が嬉しいです。XpからXvに移行したころに音が切れるようになり、出なくなって故障したLAPC-Nを何とかしようと考えました。子(?)基板つきのボードです。といっても、サブボードを外してほこりなどを取り除く程度ですが。下のが左右に開いた図です。で、再び組み上げたのですが、やはり音が出ません。「おかしいなー、ソフト側からはハングアップせずに叩けているのに音だけ出ない。アナログ周りだろうか?」と思ったのですが、こんな構造のボードを通電したままテスタで測る気もしません。ということで挿したまま放置プレイ(ひわいやなあ(汗))。

LAPC-Nを分解してみた ある日、「アリスの館3」のBGMモードでFM音源で聴いていたとき、突然音が大きく鳴りだしました。聴いていて呆然とした次の瞬間にLAPC-Nが復活したことに気がつきました。こんなこともあるんですねぇ。写真撮影後気がついたのですが、分解後は音がならなくなる仕様みたいで、しつこく通電してると音が鳴り出すみたいです。

用途

うちにある9821の中では非常に過去の財産が生かせるマシンのひとつですので、LANも装備してデータのコンバート用、Xvではどうにも動かないゲーム用に使います。あとはSCSIのまっとうな容量のHDDを繋いでCDRWドライブも稼動させたいと思っています。

 最終的に現在はこんな感じです。

項目標準拾得時現在
CPUi486DX2/66MHzなしAm5x86/133MHz
2ndCacheなしなしなし
RAM3.6MB14.3MB48MB
Cバススロット#1(空き)(空き)PCカードスロットアダプタ(予定)
Cバススロット#2(空き)(空き)PC-9821A-E11(NEC) VRAM 2MB
Cバススロット#3(空き)(空き)IF-2769/BIOS-Ver.1.02(ICM)
Cバススロット#4(空き)(空き)LAPC-N(Roland)
SCSI専用スロット(空き)(空き)PK98-2SYUMORI(玄人志向)
ストレージ機器 3.5'FDDx2
1MB-FDDインターフェース
3.5'FDDx2(1台故障)
340MB HDD(IDE)
1MB-FDDインターフェース
3.5'FDDx2
MAXTOR 6Y080L0 (80GB IDE HDD)
DVD-RAMドライブ LF-D200(松下寿)(SCSI)
5'FDDx2(外付け)
640MB MOドライブ MOS350(SCSI)
2GB HDD(SCSI)

注釈とうんちく

61SIMM
AT互換機と後の世のPC98シリーズで採用されていたSIMMではなくてPC-9801-61互換SIMM。61SIMMの方がパフォーマンス悪いです。
CPU MODE
後の世になっては"CPU MODE High"という表示は意味をなさなくなってしまいましたが、このころのマシンでは過去のソフトが無事に動くようにCPUの速度を切り替えるというスイッチがあります。それに応じて実行速度が変化し、起動時に"CPU MODE Middle"とか"CPU MODE Lo"となるわけです。Apではすでにソフトウェア的に実行速度を落としているだけですが、9801DA、DX以前のマシンでCPUモードの切り替えが出来る機種では、V30も乗っけて"CPU MODE Lo"を担当させていると言う構成でした。
電圧
ODPでないDX4は3.3Vですので、本来なら5Vのソケットに挿してはまずいのですが。3.3VのPentiumのソケットにk6-IIIなんかを直挿しした日には確実に飛ぶと思いますが、古き良き時代のものですので、まあ、大目に見てくれるときもある、と。
と、書いたところ、当時はdx4が5vでも動くというような記事が雑誌なんかでも取り上げられ、動作すること自体は別に珍しいことではないとKAZZEZさんに教えていただきました。
ただ、やけどするくらい熱くなりますし、私はもう怖くてしませんが(^^;
ソケット3もどき
一部機種においては、ソケット3が載っているのに最外周ピンがノンコネとなっています。PODP5V83の最外周のピンは電源かGND線およびWB制御のピンから構成されており、WTモードで運用している限り、そう言った機種でも動作できるようです。
ASPI
Advanced SCSI Programming Interfaceの略。Adaptecが提唱し、多くのメーカーに受け入れられているAPIです。要はSCSIコマンドをドライバないしBIOSに渡して、実際のドライブアクセスというコントローラ依存部分を吸収するための規格です。ATAPIなんかはSCSIコマンドを送るためのIDEの拡張ですので、ATAPI-ASPI変換は無理無く出来ます。programmersheaven.comで読み物が幾つか見つかります。
IF-2769
ICMの倒産直前に発売したバスマスタ転送SCSI-2ボードです。3枚持ってますが手元のは1枚がBIOS Ver. 1.02で、2枚が1.01です。SC-IIIPも手持ちにあるんですが、SMIT転送は、書き込みの際のCPU負荷がかなり高くなります。IF-2769はバスマスタ転送のボード中で最狂とも表現されており、PCI非搭載機でのCD-R書きこみに大変実績のあるアイテムとなっています。
ODPとODPR
ODPというのは基板直付けとかのCPUを眠らせる機能のついたCPUで、別に用意されたODPソケットというのに挿すためのもので、ODPRというのはReplace用のODPで、ソケット装着された本来のCPUと入れ替えて使うものという区別があります。
WB
Write Backのこと。メモリの書きこみ動作時にキャッシュメモリだけでなく、主記憶にも同時に書きこむのがWrite Through(WT)であり、CPUが遅い主記憶の内容が書き換わるまでの面倒を見なければいけません。これと反対に、とりあえずキャッシュ中に書き込んでおいて、別のタイミングでメインメモリにその内容を書きこむ方式をWrite Backといいます。要はDMAによりメインメモリの内容とキャッシュの内容が整合が取れなくなると問題が起こるため、こうならないように基板設計がなされていることがWB動作に必須の要件となるわけです。Ap2でさえ本体側はWBに対応しておらず、その前のApはもちろん対応していません。
SCSIスルー機能
SCSI専用スロットには内蔵用のHDD(SCSI籠)、CD-ROM(ファイルスロット)への配線が来ています。SCSI専用スロットは接続上Cバスなのですが、しかしバスマスタに関する配線が不完全で、バスマスタ転送を用いるインターフェースが作れないという制約があったため、速いSCSIのインターフェースが存在しませんでした。そこでSCSIの配線だけ取り出してしまって、より速いSCSIインターフェースに接続できるようにするのがSCSIスルー機能です。ちなみに専用スロットのSCSIボードのSCSI機能を眠らせて配線を直通にするのをスルー化といいます。実際緑電子からはSCSIスルーボードも販売されていました。で、2002年になって、思い出したように玄人志向が出したのがPK98-2SYUMORIで、A-mateのCバスが足りないという声に応じて、メルコのLGY-98の機能を組み合わせたものです。(これから比べるとXpなんかCバスが全然足らなくていっぱいいっぱいだったなぁ)。ユーザーとしては大変ありがたかったのですが、残念なことに商売的には失敗だったようで・・・。